フランスパン、と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、細長い棒状の、大きくて硬いパンだろう。
バゲット、バタール等と呼ばれるあのパンは、確かに「フランスパン」である。
フランスの街角で、紙袋からひょっこり顔を出しているのが絵になるパン。
しかしその一方で、ブールと呼ばれる丸型のものや、シャンピニオンと呼ばれるキノコ型のものも、フランスパンである。
当店に並べているようなコーンフランス、ぶどうフランス等の丸いものや四角いものも、フランスパンから派生したものである。
あるパンがフランスパンか否かを決めるのは、見た目ではない。
中身(=配合)がどんなものか、これがフランスパンか否かの基準と言える。
パンを作る上で最小限の素材のみを用いたかどうか。
小麦粉、水、塩、酵母。この四つを主原料として作った生地をひとまずはフランスパン生地と呼ぶ。
そういう意味で、砂糖やバターを入れて作ったものは(たとえバゲットの形をしていても)フランスパンではない。
シンプルであることをひたすら追究し続ける、フランスパンとはそんなパンである。